直ちゃん
台風の中、去年東京から引っ越してきたね。
日差しはあの時と同じだよ。
直ちゃんが亡くなって、しばらくしてからショック症状が出て
ずっとは地獄のような日々だったんだよ。
だって、「あの時ああしていればよかった・・・」とか
「もっと優しくしていればよかった・・・」とか
後悔したらきりがないくらい、
沢山の直ちゃんへの思いに押し潰されそうだったから。
亡くなったであろう時刻に直ちゃんの大好きだった
焼酎をあげて、焼香をして、それから日が沈むまで
庭に出て、直ちゃんと話をしても・・・
何も起こらない・・・。
言い表せないような感情がこみ上げて来て止まらなくなる。
でも、多くの人が心配してくれ、顔を見に来てくれてるから、
安心してね。
それと、
こんな切ない、何とも言いようがない気持ちは誰とも分かち合えないし、
そうすべきでないこともよく分かったよ。
直ちゃんの大好きだったSちゃんも悲しんでくれてて、
何度か電話をもらったよ。
「悲しみの深さって、誰とも共有できないんだよ。
自分の心が落ち着くまで耐えるしかないんだよ。
でもね、毎日、少しずつ直ちゃんがこの自然の中に溶けていってる気がする。
だから、私たちが悲しみに浸りきってたら、この世に未練ができて、
四十九日までに天国に行けなくなっちゃうよ。
だから、一緒に直ちゃんの冥福を祈ろうね」って言ったんだ。
直ちゃん、間違ってないよね?
この押し潰されそうな気持ちをなだめてくれるのも
まだ直ちゃんの仕事だよ。
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